近年、学校や教育機関で、偽の警告画面をきっかけにしたサポート詐欺被害が複数確認されています。
学校や教育機関では実際に、学校諸会費の口座から不正送金が発生した事案や、教職員のパソコンが遠隔操作・不正アクセスされ、生徒・学生情報が漏えいした可能性があるとされた事案も確認されています。
この記事では、学校で相次ぐサポート詐欺被害の概要、近年の事例、生徒の個人情報が流出した場合のリスク、学校のPC利用規定や情報管理体制の課題、保護者が確認できることについて整理します。
サポート詐欺とは
偽の警告画面で不安をあおる手口
サポート詐欺とは、パソコン画面に「ウイルスに感染しました」「個人情報が流出するおそれがあります」などの偽の警告を表示し、利用者を不安にさせて金銭の支払いや遠隔操作に誘導する手口です。1
サポート詐欺では、次のような流れや特徴が見られます。
- パソコン画面に偽の警告が表示される
- 警告音や音声で不安をあおられる
- 画面に表示された電話番号へ連絡するよう促される
- サポート担当者を装った人物から操作を指示される
- 遠隔操作ソフトのインストールや支払いに誘導される
- 偽の警告画面に、実在する企業名やロゴが使われることがある
- 大きな警告音を鳴らしたり画面を閉じにくくしたりして利用者を焦らせることがある
学校でこのような被害が起きた場合、単に金銭をだまし取られるだけでなく、校務用パソコンや共有フォルダ内に保存された児童生徒の個人情報が外部から閲覧されるおそれがあります。
そのため、学校でのサポート詐欺被害は、教職員個人の詐欺被害にとどまらず、学校全体の情報管理や個人情報保護に関わる問題として見る必要があります。
学校で相次ぐサポート詐欺被害
島根県立三刀屋高校の事案2
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報道による発生時期 | 2026年6月9日 |
| 発生場所 | 島根県立三刀屋高校 |
| 発端 | 教員用パソコンで教材に関する情報収集をしていた際、警告メッセージと警告音が表示された |
| 被害の経緯 | 教員が画面に表示された偽のサポートセンターの番号に電話し、指示に従って操作した結果、不正プログラムがインストールされた |
| 影響 | 外部からパソコン内の情報を閲覧・抜き取りできる状態になったと報じられている |
| 漏えいの可能性がある情報 | 生徒69人分の氏名、生年月日、学校用メールアドレス、進路希望調査など |
| 対応 | 教員は不正プログラムのインストール後、県教育委員会に連絡し、指示に従ってネットワークから遮断した |
| 論点 | 報道によると、本来は県指定のクラウドに保存する決まりだった個人情報が、教員用パソコン上に残されていた |
この事案は、サポート詐欺そのものへの注意に加えて、個人情報を端末上に残さないルールが現場で徹底されていたかという点も問われる事例です。
報道によると、不正プログラムのインストール後、教員は県教育委員会に連絡し、指示に従ってネットワークから遮断したとされています。一方で、約30分間、不正プログラムからアクセスできる状態だったとも報じられています。
学校でのサポート詐欺被害を考える際には、偽警告画面への対応だけでなく、端末内に個人情報を残さない運用、被害発生時の報告体制、ネットワーク遮断までの初動対応も重要になります。
牧之原市立相良中学校の事案
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生時期 | 2026年5月29日 |
| 発生場所 | 静岡県牧之原市立相良中学校 |
| 発端 | Microsoftを装った偽の警告画面が表示 |
| 被害の経緯 | 職員が表示された電話番号へ連絡し、指示に従って操作した結果、外部から遠隔操作可能な状態となった |
| 被害内容 | 学校諸会費の口座などから1,000万円超が送金された |
| 情報漏えい | 公表時点では、生徒情報の流出は確認されていない |
この事案で特に重要なのは、サポート詐欺が学校のパソコンを通じて学校会計にまで影響した点です。3
学校諸会費には、保護者から集めた教材費や積立金などが含まれる場合があります。
つまり、この事案は、生徒情報の漏えいリスクだけでなく、保護者から預かった金銭の管理にも関わる問題といえます。
学校でのサポート詐欺被害を考える際には、校務用パソコンの管理だけでなわく、学校会計やネットバンキングに使う端末・口座管理のあり方も論点になります。
北九州市立大学の事案
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生時期 | 2026年5月25日 |
| 発生場所 | 北九州市立大学 |
| 発端 | ファイル共有サービス利用中に偽の警告画面へ誘導された |
| 被害の経緯 | 第三者から不正アクセスを受け、パソコンが遠隔操作された |
| 影響 | パソコン内の個人情報が漏えいした、または閲覧された可能性を排除できない |
| 漏えいの可能性がある情報 | 教員の氏名・生年月日、学生等の氏名、学籍番号、携帯電話番号、メールアドレスなど |
大学の事案ではありますが、教育機関の業務用パソコンが偽警告画面をきっかけに遠隔操作され、学生情報の漏えいリスクが生じた点は、学校現場にも共通する問題です。
特に、業務用パソコンが学内ネットワークや共有フォルダにつながっている場合、1台の端末が遠隔操作されることで、端末内だけでなく、ネットワーク上の情報にも影響が及ぶ可能性があります。4
群馬県の県立高校等の事案
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生時期 | 2025年12月 |
| 発生場所 | 群馬県の県立高校および県立農林大学校 |
| 被害者 | 非常勤講師 |
| 被害端末 | 私物パソコン |
| 被害内容 | 教材や生徒・学生の個人情報を含むファイルが削除された |
| 情報漏えい | 個人情報が流出した可能性がある |
| 二次被害 | 公表時点では報告なし |
この事案で大きな論点となるのは、私物パソコンに生徒・学生の情報を含むファイルが保存されていた点です。
学校現場では、教材作成や授業準備、成績処理などのために、教職員が自宅や私物端末で作業する場面が生じることがあります。
しかし、私物パソコンは学校や教育委員会が直接管理しにくく、セキュリティ対策やソフトウェア管理、保存ファイルの削除状況を十分に確認しにくい面があります。
この事案は、サポート詐欺そのものへの注意だけでなく、私物端末の利用、校外での作業、個人情報を含むファイルの保存ルールを明確にする必要性を示しています。5
長野県教育委員会の事案
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生場所 | 長野県教育委員会が所管する県立高校2校 |
| 被害者 | 教諭2人 |
| 発端 | サポート詐欺被害により遠隔操作ソフトをインストール |
| 被害内容 | 校務用端末が遠隔操作可能な状態となった |
| 影響 | 生徒や教職員に関する個人情報の漏えいのおそれ |
| 漏えいのおそれがある情報 | 生徒の氏名、生年月日、住所、成績、生徒指導や進路指導に関する資料など |
この事案は、学校でのサポート詐欺被害が、単なる詐欺被害にとどまらず、児童生徒の個人情報保護に関わる重大な問題になり得ることを示しています。6
特に、校務用端末には、成績や指導記録、進路に関する情報など、子どもの学校生活や将来に関わる情報が保存されている場合があります。
そのため、サポート詐欺への対策は、教職員個人の注意喚起だけでなく、遠隔操作ソフトをインストールできない端末設定、アクセス権限の管理、共有フォルダの見直しといった仕組みづくりが必要です。
時系列で見る主な動き
学校や教育機関でのサポート詐欺被害は、単発の出来事ではなく、複数の自治体や教育機関で確認されています。
また、個人情報保護委員会も、学校における個人情報漏えい等事案を踏まえた注意喚起や資料公表を行っています。7
主な動きは、次のとおりです。

2025年6月の注意喚起後も、教育機関で同種の被害は確認されています。
確認できる範囲では、サポート詐欺被害に特化した全国一律の新制度が示されたというより、個人情報保護委員会による注意喚起や資料公表、各自治体・教育委員会による個別事案への対応が中心とみられます。
そのため、学校でのサポート詐欺被害は、個々の教職員の注意だけでなく、学校設置者や教育委員会がどのように端末管理、私物PCの利用、個人情報の保存ルール、被害時の初動対応を整備しているかが問われる問題といえます。8
生徒の個人情報が流出すると何が問題なのか
氏名や住所だけでなく、学校には多くの情報がある
生徒の個人情報が流出した場合、問題になるのは氏名や住所だけではありません。
学校では、子どもの学校生活や家庭状況、健康、進路に関わるさまざまな情報が扱われています。たとえば、次のような情報です。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 学年・クラス・出席番号
- 顔写真
- 成績
- 出欠状況
- 生徒指導に関する記録
- 進路希望や面談記録
- 保護者の氏名・連絡先
- アレルギーや健康に関する情報
- 家庭状況
- 支援や配慮に関する情報
これらの情報は、単体では大きな問題に見えにくいものもあります。しかし、複数の情報が組み合わさると、本人の特定や家庭状況の推測につながる場合があります。
特に、成績、健康情報、家庭状況、生徒指導や進路指導に関する記録は、子どもの学校生活や将来に関わる情報です。そのため、学校で扱う個人情報は、単なる連絡先情報ではなく、慎重に管理されるべき情報といえます。
不審連絡・なりすまし・詐欺に使われるリスク
生徒や保護者の連絡先が流出した場合、不審な電話、メール、SMSなどが届く可能性があります。
特に、学校名、学年、クラス、担任名、保護者名などを知っている相手から連絡があると、受け取った側は「学校関係者かもしれない」と信じてしまうおそれがあります。
たとえば、次のような悪用が考えられます。
- 学校関係者を装った電話やメール
- 教材費や行事費を名目にした金銭要求
- 保護者向け連絡を装ったフィッシング詐欺
- 子どもの名前や学校名を使ったなりすまし
- 住所や電話番号を使った不審な接触
もちろん、個人情報が流出したからといって、直ちにこうした被害が起きるとは限りません。
ただし、学校に関する情報は、本人や保護者にとって信頼しやすい情報でもあります。
そのため、情報が悪用された場合には、通常の迷惑電話や不審メールよりも気づきにくい場合があります。
いじめ・からかい・偏見につながるリスク
学校が扱う情報には、子どもの人間関係や学校生活に影響しやすい情報も含まれます。
たとえば、成績、生徒指導に関する記録、家庭状況、健康情報、支援や配慮に関する情報などが外部に知られた場合、本人が望まない形で噂やからかいの対象になるおそれがあります。
特に子どもの場合、情報が学校内外で広がることで、友人関係やクラス内での立場に影響する可能性があります。
情報の内容によっては、偏見や誤解を招いたり、いじめにつながったりするリスクも否定できません。
そのため、生徒の個人情報流出は、単に「データが外に出た」という問題ではありません。
子どもの心理的な安全や、学校生活の安心にも関わる問題として考える必要があります。
健康情報・家庭情報は特に慎重な扱いが必要
学校が保有する情報の中でも、健康情報や家庭に関する情報は、特に慎重な扱いが必要です。
たとえば、次のような情報が含まれる場合があります。
- アレルギー
- 持病
- 障害に関する情報
- 学校生活上の配慮事項
- 家庭環境
- 保護者の状況
- 支援に関する情報
これらは、子ども本人の尊厳や生活の安心に深く関わる情報です。
本人や家庭が周囲に知られたくない事情を含むこともあり、流出した場合の影響は小さくありません。
また、健康情報や支援に関する情報が外部に知られると、本人への偏見や誤解につながるおそれもあります。
だからこそ、学校での個人情報管理では、氏名や住所などの基本情報だけでなく、成績、健康、家庭、支援に関する情報まで含めて、どの情報を、誰が、どの端末で、どの範囲まで扱えるのかを明確にしておく必要があります。
学校の個人情報管理は一律に決まっているのか
個人情報保護法は個人情報管理の共通の土台になる
個人情報保護法は学校だけに適用される法律ではなく、行政機関、企業、各種団体など幅広い組織に関係する法律です。
学校における個人情報の取扱いも、その枠組みの中で考える必要があります。
学校や学校設置者には、児童生徒の個人情報を安全に管理し、漏えい、滅失、毀損を防ぐために必要な措置を講じる責任があります。
また、教職員が個人情報を扱う場合には、学校や学校設置者が適切に監督することも求められます。
ただし、学校といっても、公立学校、私立学校、国立大学法人が設置する学校など、設置者はさまざまです。
そのため、個人情報保護法が共通の土台になる一方で、適用される規律や実際の管理体制には違いがあります。
重要なのは、学校も社会のさまざまな組織と同様に、児童生徒の個人情報を「預かっている重要な情報」として適切に管理する必要があるという点です。
文科省のガイドラインはあるが、校内ルールは自治体ごとに異なる
学校の情報管理については、文部科学省が「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を示しています。9
このガイドラインは、教育委員会や学校設置者が、学校の情報セキュリティ対策を考える際の参考になるものです。学校で扱う情報の重要性や、校務用端末、クラウドサービス、ネットワーク、アクセス権限などについて、基本的な考え方が整理されています。
一方で、これは全国すべての学校に同じ校内ルールをそのまま定めるものではありません。
たとえば、次のような細かな運用は、自治体や学校設置者ごとに異なる場合があります。
- 私物PCの利用を認めるか
- USBメモリの使用を認めるか
- どのクラウドサービスを使えるか
- 教職員がソフトウェアをインストールできるか
- 管理者権限を誰が持つか
- 校外や自宅での作業をどこまで認めるか
- 校務用PCと学習用端末をどう分けるか
- 成績や健康情報などをどこに保存するか
つまり、学校における情報管理には、法律や国のガイドラインという共通の土台があります。しかし、PCの使い方や私物端末の扱い、クラウドサービス、ソフトウェアのインストール権限などの細かなルールは、全国一律に同じ形で決まっているわけではありません。
PC利用規定の差が被害拡大につながることもある
サポート詐欺被害では、教職員が偽警告画面にだまされたかどうかだけが問題になるわけではありません。
より重要なのは、被害が起きたときに、どこまで影響が広がり得る体制だったのかです。
たとえば、次のような点が問われます。
- 業務用PCに自由にソフトウェアをインストールできる設定だったのか
- 遠隔操作ソフトを入れられる状態だったのか
- 管理者権限を誰が持っていたのか
- 児童生徒の個人情報が端末内に保存されていたのか
- 共有フォルダや校内ネットワークに接続されていたのか
- 私物PCに生徒情報が保存されていたのか
- 学校会計やネットバンキングに使う端末と、通常業務の端末が分けられていたのか
もし、教職員が使う端末に自由にソフトを入れられる状態だったり、個人情報を含む共有フォルダへ広くアクセスできる状態だったりすれば、1台のPCが遠隔操作されただけでも、被害が大きく広がるおそれがあります。
また、学校会計やネットバンキングに使う端末が通常のインターネット閲覧や校務作業にも使われていた場合、不正送金などの金銭被害につながる可能性もあります。
なぜ学校現場で被害が起きやすいのか
教職員の業務がデジタル化している
学校では、校務や授業準備の多くがデジタル化しています。
成績処理、出欠管理、保護者連絡、教材作成、校務支援システムの利用、クラウドサービスでのファイル共有など、教職員が日常的にパソコンを使う場面は増えています。
こうしたデジタル化は、業務の効率化や情報共有に役立つ一方で、パソコンやネットワークを通じた被害の入口も増やします。
特に、校務用端末や共有フォルダには、児童生徒の個人情報や学校運営に関する情報が保存されている場合があります。
そのため、1台の端末が遠隔操作されるだけでも、端末内の情報だけでなく、校内ネットワーク上の情報に影響が及ぶおそれがあります。
現場の多忙さとICT管理のギャップ
学校現場では、教職員が多忙な中で、授業、校務、保護者対応、部活動、行事準備などを並行して行っています。
そのため、サポート詐欺の手口を知っていたとしても、業務中に突然警告音が鳴ったり、画面が閉じにくくなったりすると、冷静な判断が難しくなる場合があります。
また、学校では正規教職員だけでなく、非常勤講師、外部人材、支援員など、さまざまな立場の人が端末やデータを扱うことがあります。すべての関係者に同じ水準で研修やルール周知を行うことは簡単ではありません。
さらに、端末管理やアクセス権限の設定が現場の実態に追いついていない場合、私物PCの利用や、個人情報を含むファイルの持ち出し、共有フォルダへの広いアクセスが残ってしまうこともあります。
つまり、研修や注意喚起だけでは、サポート詐欺被害を完全に防ぐことは難しい面があります。
個人責任ではなく体制の問題として見る必要がある
学校でサポート詐欺被害が起きた場合、偽警告画面にだまされた教職員だけを責める形で考えるべきではありません。
もちろん、表示された電話番号に連絡しないことや、不審な指示に従わないことは重要です。
しかし、学校が子どもの個人情報を扱う場である以上、問題は「被害が起きたときに、どこまで影響が広がり得る体制になっているか」です。
たとえば、次のような対策が取られていれば、被害の拡大を防ぎやすくなります。
- 教職員が自由にソフトをインストールできない設定にする
- 管理者権限を必要最小限にする
- 校務用端末と会計用端末を分ける
- 個人情報を含む共有フォルダのアクセス権限を制限する
- 私物PCに児童生徒情報を保存しないルールを徹底する
- 偽警告画面が出た場合の初動対応を決めておく
サポート詐欺への対策は、個人の注意力だけに頼るものではありません。
被害が起きても、遠隔操作ソフトを入れられない、個人情報に簡単にアクセスできない、会計操作に影響が出ないという仕組みを整えることが重要です。
学校での情報安全は、これからの学校安全の一部として考える必要があります。
学校で確認すべき情報管理のポイント
学校でのサポート詐欺被害を防ぐには、教職員への注意喚起だけでなく、被害が広がりにくい仕組みを整えておくことが重要です。
特に、端末管理、ソフトウェアのインストール制限、共有フォルダのアクセス権限、私物PCの利用、学校会計用端末の分離などは、事前に確認しておきたいポイントです。

学校現場で、すべてのリスクを完全にゼロにすることは容易ではありません。
しかし、被害が起きたときに「どこまで広がるか」は、事前のルールと仕組みによって大きく変わります。
保護者が確認できること
学校でサポート詐欺被害や個人情報流出のおそれが公表された場合、保護者は不安を感じやすいものです。
ただし、まず重要なのは、事実関係を落ち着いて確認することです。個人情報が「流出した」と確認されたのか、「流出した可能性がある」のかによって、状況は異なります。
また、どの情報が対象になっているのかによって、家庭で注意すべき点も変わります。
学校から説明があった場合に確認したいこと
学校や教育委員会から説明があった場合は、次のような点を確認するとよいでしょう。
- どのような経緯で被害が発生したのか
- 個人情報が実際に流出したのか、流出した可能性がある段階なのか
- 対象となる児童生徒や保護者の範囲はどこまでか
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが含まれるのか
- 成績、健康情報、アレルギー、家庭状況、生徒指導記録などが含まれるのか
- 保護者の連絡先や口座情報が含まれるのか
- 現時点で二次被害や不審連絡が確認されているのか
- 不審な連絡があった場合の相談先はどこか
- 学校や教育委員会がどのような再発防止策を取るのか
- 今後、追加調査や追加説明の予定があるのか
特に確認したいのは、「どの情報が、誰の情報として、どの範囲で閲覧・流出した可能性があるのか」です。
単に「個人情報流出のおそれ」と説明されても、氏名だけなのか、住所や電話番号まで含まれるのか、成績や健康情報まで含まれるのかによって、家庭で取るべき対応は変わります。
不審な連絡があった場合に注意したいこと
個人情報が流出した可能性がある場合、学校名、子どもの氏名、学年、保護者名などを知っている相手から連絡が来ることも考えられます。
相手が詳しい情報を知っているように見えても、すぐに信用しないことが大切です。特に、次のような内容には注意が必要です。
- 金銭の支払いを求められる
- 口座情報やクレジットカード情報を聞かれる
- 認証コードやパスワードを求められる
- アプリやソフトのインストールを求められる
- URLを開くよう促される
- 「至急」「今日中」などと急がされる
このような連絡があった場合は、その場で対応せず、学校や教育委員会に確認しましょう。
メールやSMSに記載された連絡先ではなく、普段から学校連絡に使っている公式の連絡先へ確認することが重要です。
子ども本人にも伝えておきたいこと
保護者だけでなく、子ども本人にも、不審な連絡への対応を伝えておくと安心です。
たとえば、次のように具体的に話しておくとよいでしょう。
- 知らない相手からの連絡には返信しない
- 学校名や自分の名前を知っている相手でも、すぐに信用しない
- 困ったときは、保護者や学校の先生に相談する
- URLを開いたり、アプリを入れたりしない
- 認証コードやパスワードを誰かに教えない
子どもに伝えるときは、不安をあおる必要はありません。「もし変な連絡が来たら、一人で返事をしないで大人に見せてね」といった形で、相談しやすい雰囲気をつくることが大切です。
まとめ
学校でのサポート詐欺被害は、単に教職員が偽警告画面にだまされたという問題ではありません。学校が扱う情報には、子どもの学習、健康、家庭、進路に関わる情報が含まれます。
そのため重要なのは、教職員個人を責めることではなく、偽警告画面に遭遇しても遠隔操作ソフトを入れられない仕組み、個人情報に簡単にアクセスできない権限管理、学校会計や校務情報を守る端末管理を整えることです。
情報安全は、これからの学校安全の一部として、学校・教育委員会・保護者が共有して考えるべき課題です。
参考資料
本記事は、以下の公的機関の公表資料および報道資料をもとに、学校や教育機関で確認されたサポート詐欺被害と個人情報管理上の課題を整理したものです。個別事案については、公表時点の情報に基づいて記載しています。
公的機関・公式発表
個人情報保護委員会「学校における個人情報の漏えい等事案を踏まえた個人情報の取扱いに関する留意点について」
https://www.ppc.go.jp/news/press/2025/250625_houdo
個人情報保護委員会「長野県教育委員会における再発防止策の実施状況について」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/240529_shiryou-2.pdf
個人情報保護委員会「公立学校とPTAの間で個人情報のやり取りをするためのポイント」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/202603_school_pta_pd_point.pdf
個人情報保護委員会「教育委員会職員・公立学校教職員向け資料」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/pd_kanshikantoku_kyouiku_r8.pdf
文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1397369.htm
警察庁「サポート詐欺対策」
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/countermeasures/support-fraud.html
IPA 独立行政法人情報処理推進機構「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ」
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/measures/fakealert.html
牧之原市「相良中学校におけるインターネット詐欺被害について」
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/soshiki/31/61903.html
群馬県「県立高校等における個人情報に関わる事故について」
https://www.pref.gunma.jp/site/houdou/737019.html
北九州市立大学「不正アクセスによる個人情報漏洩のおそれに関するお知らせとお詫び」
https://www.kitakyu-u.ac.jp/news/2026/05/006600.html
報道資料
BSS山陰放送/TBS NEWS DIG「パソコンに警告音…表示された偽サポートセンターに電話すると…不正プログラムをインストール 進路希望調査などの個人情報流出の可能性 島根県立高校」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2728960?display=1
注釈
- サポート詐欺の手口については、警察庁やIPA(情報処理推進機構)などが注意喚起を行っています。偽の警告画面や警告音で不安をあおり、画面に表示された電話番号へ連絡させる手口が確認されています。
参考:警察庁「サポート詐欺対策」
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/countermeasures/support-fraud.html
参考:IPA「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ」
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/measures/fakealert.html ↩︎ - 島根県立三刀屋高校の事案
BSS山陰放送/TBS NEWS DIGの報道によると、島根県立三刀屋高校で、教員用パソコンに不正プログラムがインストールされ、生徒69人分の個人情報が流出した可能性がある事案がありました。 ↩︎ - 牧之原市立相良中学校のインターネット詐欺被害については、牧之原市が発生状況や経緯を公表しています。
参考:牧之原市「相良中学校におけるインターネット詐欺被害について」
https://www.city.makinohara.shizuoka.jp/soshiki/31/61903.html ↩︎ - 北九州市立大学は、2026年5月25日に事務職員のパソコンが不正アクセスを受け、保存されていた個人情報が漏えいした、または閲覧された可能性を排除できないと公表しています。
参考:北九州市立大学「不正アクセスによる個人情報漏洩のおそれに関するお知らせとお詫び」
https://www.kitakyu-u.ac.jp/news/2026/05/006600.html ↩︎ - 群馬県の県立高校等における事案については、群馬県が、非常勤講師の私物パソコンがサポート詐欺被害に遭い、生徒・学生の個人情報が流出した可能性があると公表しています。
参考:群馬県「県立高校等における個人情報に関わる事故について」
https://www.pref.gunma.jp/site/houdou/737019.html ↩︎ - 長野県教育委員会が所管する県立高校2校の事案について、個人情報保護委員会は2024年2月21日に指導を行い、再発防止策の実施状況報告を求めています。
参考:個人情報保護委員会「長野県教育委員会における再発防止策の実施状況について」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/240529_shiryou-2.pdf ↩︎ - 個人情報保護委員会は、学校における個人情報の漏えい等事案を踏まえ、2025年6月25日に個人情報の取扱いに関する留意点を公表しています。
参考:個人情報保護委員会「学校における個人情報の漏えい等事案を踏まえた個人情報の取扱いに関する留意点について」
https://www.ppc.go.jp/news/press/2025/250625_houdo ↩︎ - 個人情報保護委員会は、教育委員会職員・公立学校教職員向けに、個人情報の適正な取扱いに関する資料も公表しています。
参考:個人情報保護委員会「教育委員会職員・公立学校教職員向け資料」
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/pd_kanshikantoku_kyouiku_r8.pdf ↩︎ - 文部科学省は、教育委員会や学校設置者が教育情報セキュリティポリシーを策定・見直す際の参考として、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を公表しています。
参考:文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1397369.htm ↩︎
